50代から老後の蓄えを作る方法&いつから貯め始めるべきなのか?について見ていきましょう。
年金の支払いが疑問視されるようになり、景気も微妙な昨今、『老後の蓄え』の重要性はいや増すばかりです。
さて、『老後』と言えば、基本的には定年退職の時期でもある60代以降を指すわけですが・・・
ここではその一歩手前、50歳代から『老後の蓄え』を作るための方法と、貯め始めるべき時期について考えてみます。
老後の蓄えってなぜ必要?
1.年金がもらえないかもしれない
俗に世代間扶養とも呼ばれる年金は『働く世代が老後世代を支えるための制度』です。
その仕組みは、
- 働く世代から保険料を徴収する
- 徴収した金銭と税金を足して受給者たちに給付する
ようになっています。
ちなみにサラリーマンであれば給料から天引されるので、
なんて思ってしまった経験があるのではないでしょうか?
年金はその仕組み上、働く世代が一定以上いなければなりません。
ところが近年の少子高齢化から、年金保険料を支払う世代が減っていっています。
しかも年金を受け取る世代は増えていくわけですから、必然、
- 保険料を上げる
- 給付金額を下げる
のどちらかになります。
しかし、冒頭でも書いたように、経済状況も微妙なところですから、保険料を上げることは(なかなか)出来ません。
とくれば、年金支給額は減っていくことになり、『年金は信頼できない』ということになってしまいます。
なぜ年金は信頼できない?
ただし、年金制度も徐々に手入れされています。
保険料を徴収する層を広げたり、滞納のないように工夫したり・・・
よく『年金は全く払われなくなる』と言われていますが、これはまずないでしょう。
年金が信頼できないというのは『払われなくなる』という意味ではなく、払われる金額が少なくなるだろう、という意味です。
より噛み砕いて言えば、『年金だけをあてにして生活することは不可能(になる)だろう』=『年金に加えて貯蓄が必要だ』ということですね。
また企業年金や確定拠出年金に加入している人であれば、この限り(年金は信頼できない)ではありません。
3.医療・介護費用の増大
科学の進歩は偉大なもので、近年、人間はちょっとやそっとの病気では参らなくなりました。
人生100年の時代です。
ところがそれも良いことばかりではなく・・・
- 年を取ると、どうしても体力が衰える
- 衰えると病気がちになる
ので、医療費が増えます。
また先進的な化学医療はそもそもの費用が高く、癌の治療には平気で何百~何千万が請求されます。
もちろん保険や高額医療費制度を使えば、そっくりそのまま負担せねばならない、ということはありませんが、それでも不意の出費に備える必要を否定することはできません。
更に『介護費用』ですね。
加齢や病気の結果、いわゆる『寝たきり』になってしまったとき、その介護費用は馬鹿になりません。
介護士を雇ったり老人ホームに入ったりするのには、月あたり8万円掛かる、と言われています。
これが払えないと『老老介護』、年老いたパートナーや親を同じように年老いたパートナーや子が介護することになります。
医療費、介護費は年金だけで賄うのは難しいので、
になるわけです。
3.教育費
子供の年齢にも依りますが、子供の大学進学が老後だ、となれば・・・
たとえば私立大学生は年間180~200万円を必要とする、とされていますし、学部によってはこれ以上も有り得ます。
4年間で1000万円、大学進学する子供が2人であれば2000万円ですね。
奨学金という選択肢もありますが、奨学金だけでは学費を払いきれない場合もありますし、物によっては審査が厳しい、金利が高い、などの問題もあります。
子供に満足な教育を受けさせるにはどうしても大金が必要になるので、そういう意味でも貯蓄は必要です。
50代から作る老後の蓄え
50代は貯蓄を作る最後のタイミング
当然のことですが、50代は貯蓄を作ることができる最後のタイミングです。
老後はもうすぐ目の前です。
貯蓄を始めるのであれば、まず現在の貯蓄状態を確認しましょう。
50代は出費が落ち着く時期
- 20代では結婚で
- 30代では子供と家の頭金などで
- 40代では教育費と残る家のローンで
大きな出費がある、とされています。
むろん、人生は人それぞれですし、現代は晩婚化が進んでいます(なんなら独身者も増えています)から、確かに↑の定義はもう時代遅れかもしれません。
とはいえ50代ともなれば大型の買い物は確かに減りますし、(少なくとも現状では)給与が増える傾向にありますから、貯蓄に回せるお金も増えるでしょう。
という場合でも、とりあえず落ち着いて考えてみましょう。
蓄えはいくらあればいい?
これは以下の条件、
- 夫婦揃って年金を受給し、95歳まで生きる
- 夫婦はまずまず健康に過ごす
- 持ち家である
を全て満たすときに2500万円程度である、とされています。
繰り返しますが、これは持ち家に住み、二人揃ってまずまず健康に過ごした場合です。
どちらかが寝たきりになってしまう、大病を患う、あるいは独身者である場合を想定すれば、この数値は500~1000万円ほどカサ増しされます。
また今後、年金額が値下がりになれば、老後に必要な蓄えはより多くならざるを得ないでしょう。
貯蓄がそこそこ&退職金がある人は・・・
たとえば貯蓄が1000万円前後ある、という方はコツコツとした貯金と退職金とのコンボで2500万円を得られるでしょう。
貯蓄が2500万円あれば、これを年3~4%で運用することで、月々9万円程度の収入を得る事が出来ます。
この9万円に年金を加え、また必要に応じて貯蓄を切り崩して行けば、まず無難な老後が送れるかと思われます。
貯蓄はあるけど退職金はない人は・・・
貯蓄は500~1000万円あるけども退職金が出ない、という方もいらっしゃるでしょう。
こういう方は出来るだけ早めに貯蓄を始め、60歳までに可能なだけの貯蓄を行いましょう。
理想を言えばやはり2500万円貯めておきたいところですが、50代ともなると体力的な問題もありますから、出来るだけ無理は控えましょう。
毎月5~7万円ずつ貯めながらそれを効率的に運用出来れば、10年で1000万円以上を貯めることも夢ではありませんね!
貯蓄がさっぱりないのであれば・・・
出来るだけ素早く貯蓄を開始しましょう。
50代で貯蓄がない方には、多くの場合、次の3つが考えられます。
- 貯める習慣がない
- 家計に無駄がある
- 収入が乏しい
1である場合、支払われた給与の一部を先に貯蓄して、残ったお金で生活する『先取り貯蓄』を始めましょう。
2である場合、これは大抵は無自覚なので、いちど家計簿を検めてみましょう。
1と2の該当者はそれによって築いた貯蓄を運用するなどすれば、収入額や共働きか否かにもよりますが、60歳までに1000~1500万円程度の貯蓄を作る事が出来るはずです。
今からでは遅いとか、どうせ足りなくなるとか、そういうネガティブなことはいちど棚上げしましょう!
また、貯蓄がさっぱりない人の中には、
と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし退職金だけで老後を賄うのは厳しくありますから、今のうちからコツコツ貯め始めることです。
さて収入に乏しく貯蓄がない、という層については・・・
まず家庭があるのであれば子供に頼るか、それが出来ないのであれば共働きで資産を作る、それも出来ないのであれば勤務年数を増やすことになるでしょう。
ここで仕事量を増やすと体力的に厳しいですし、体力が厳しくなれば体を壊します。
体を壊せば医療費で家計がより苦しくなりますから、定年を60ではなく65、あるいは70歳まで伸ばしていく、という選択をせねばなりません。
単身者であれば最初からこの選択、定年を先送りにして生涯現役で働いていくことを選ぶほかないかもしれません。
いちおう別の選択肢として、
- 職を変える
- 技能を身につける
というものもあります。
職を変える目的は給与の向上、及び社会保障の改善です。
給与が増えれば多少なりとも貯蓄を始められますし、いま加入している年金が国民年金であるならば、厚生年金に切り替えることで老後の生活が幾らか優しくなります。
技能を身につけるのは『職を変える』ための前段階で、たとえば何かの資格を取ることがこれに当たります。
どちらも言うは易し、生活に追われながら勉強するのは大変ですし、殊に50代ともなればスタミナの問題もあります。
よって、この2つの選択肢には体を壊す、職を失う、精神的に傷つく、などのリスクがあります。
成功すればある程度の貯蓄が作れるかもしれませんが、安易な気持ちで手を出すと痛い目を見ることになるでしょう。
【50代から老後の蓄えを作る方法】まとめ
今回は『50代が老後の蓄えを作る方法&いつから貯め始めるべきか?』について見てきました。
この記事の内容をぐぐっと纏めると、
- 貯め始める時期はいまの貯蓄額や収入による
- そこそこ貯金出来ていて退職金もある方はそのままコツコツと
- 退職金はないがまずまず貯金のある人は貯金を続ける&資産運用なども視野に
- 貯金のない人で収入に余裕がある人はいますぐ貯め始めよう
- 4の人は支払われた給料の一部を先に貯蓄する『先取り貯蓄』を始めよう
- 同じく4の人は家計に無意識な無駄があることが多いのでいちど検めよう
- 収入が少く貯蓄が無い人は子供を頼るか共働き、あるいは定年を繰り上げが考えられる
- 収入の少ない人は無理をして仕事量を増やさないこと。体を壊せば家計は崩れてしまう
- 収入や厚生年金への切り替えを狙った職替え&資格取得も視野に入るがリスクも大きい
ということになります。
何れにせよ、50代は貯蓄を作るor生活を変えていくラストチャンスであり、思い立ったら行動を始めることが全てです。
いま出来ることが少ない、あるいは無いとしても、『将来どうするのか?』のプランを持つようにしましょう。
プランが定まれば今後の生活をどういう風に送るべきか、それも定まって来ます。
『いまさら遅いよ』と思考放棄することだけは避けましょう。
こちらの記事も参考になります。
>>保険ROOM