老後破綻とは何か?その原因と対策について見ていきましょう。
昨今、しばしば耳にするようになった『老後破綻』とはなんでしょうか?
字面から連想されるように、それは、
- 貯蓄が不十分で、且つ社会保障(年金)だけでは生活できない高齢者
のことです。
ではなぜ老後破綻に陥ってしまう高齢者が多いのでしょうか?
その原因と、老後破綻に陥らないための対策を確認して行きます。
【老後破綻とは?】原因について
1.貯蓄不足が原因のもの
老後破綻の原因は大きく2つに分けることが出来ますが、その1つ目は貯蓄不足です。
老後に掛かってくる費用は一般に夫婦2人暮らしで8000万円、1人だと4000万円弱だとされています。
むろん、この全額を貯蓄で賄わねばならないわけではありません。
上記の金額から年金収入を差っ引いた額が貯蓄すべき金額、ということになります。
たとえば国民年金を受給できるならば、その平均受給額は5.5万円だとされていますから、65歳から90歳まで受け取るとして、
- 5.5×12×25=1650万円
が受け取れます。
つまり夫婦なら4700万円ほど、1人暮らしなら2500万円ほどを貯めておけば老後を乗り越えることができるわけですが・・・
4700万円は言わずもがな、2500万円でも超大金ですよね!
厚生年金を受給できれば貯めるべき金額はまたガクッと下がりますが、福利厚生が充実していない会社も数多くあります
そもそも手取り給与が15万円、なんていう人がザラに居る世の中ですから、貯蓄すること自体が難しくもあります
2.予想外の出費が原因のもの
さて、老後破綻に陥ってしまうもうひとつの原因ですが・・・
それは『貯蓄は出来ていたけれども予想外の出費にやられた』というパターンです。
この代表的な例が、
- 医療費や介護費用
ですね。
いくら高齢者の医療費が安いと言っても、たとえば、
- 病院に通い続けねばならない
- 長い入院が必要である
とき、その医療費は馬鹿になりません。
また病気、あるいは怪我などが原因で寝たきりになってしまったときには介護費が必要になります。
この費用は月あたり8万円とされていますから、1年で96万円、安くない出費です。
また介護費用が複数人分かかってくる、ということもあります。
夫同居している親が介護を要したとき、介護費用は最大3倍になります。
それが支払えない、となれば、いわゆる老々介護状態が発生し、やがて自分も体を壊し・・・というような悪循環が発生してしまうでしょう。
このほか『予想外の出費』のケースには、
- 年の差婚をしたので、家計を支えていた者が早く退職してしまう
- 〃、家計を支えていた者が退職する前後に授かった子供の教育費が払えない
- 住宅ローンが65歳以降にも残っている
ようなことが挙げられます。
生活保護について
ちなみに、
という質問がしばしば見受けられます。
ずばりケースによります。
たとえば生活費はないけれども持ち家である・・・という人は、生活保護を受けるためにまず家を売らねばなりません。
しかし、その家はまず売れません。
購入からかなりの年月が経っている=傷んでいることが多く、猶且つリフォーム代が手元にないから、ですね。
最近ではこういった、
- 持ち家のために生活保護が受けられない人々
のために、生活保護受給資格を見直している自治体もありますが、これには諸々の問題がありますので、実現はまだまだ先そうです。
【老後破綻】どう対策するか
可能な限りコツコツ貯蓄していく
むろん、最も簡単に老後破綻を防止する方法は、
- 堅実に貯蓄を積み重ねていくこと
に尽きます。
どうしても貯蓄する余裕がない・・・という場合を除き、月に少しずつでもいいので貯めていく癖をつけましょう。
ストイックに貯めて行けば自由に使えるお金が減って、使えるお金が減れば、なにしろこのストレス社会ですから精神や体を壊しかねません。
転職を考えてみる
『貯蓄する余裕がない!』ときには転職を考えてみましょう。
むろん、
人も多々おられることでしょうが、時間があるならばチャレンジしてみましょう。
このとき重視するべきことは
- 賃金
- 労働環境
- そして何より福利厚生
です。
貯蓄する余裕のない人はしばしば福利厚生の整っていない職場で働いている=厚生年金受給資格を持てない、ということがあります。
厚生年金受給資格が得られれば、給与額や積立年月にもよりますが、9~12万円ほどの年金収入を国民年金とは別に受け取る事ができます。
国民年金と合わせれば低く見積もっても月々13~14万円の収入があるわけで、老後生活費の殆どを年金収入だけで賄えるようになります。
すると必然、貯めるべき金額も少なくなる=貯蓄する余裕が無くともなんとかなる道理ですね。
老後も働き続ける
どうしても今の環境を変えられない・・・というときは、老後も働き続けることを考えねばならないでしょう。
65歳でリタイアするところを70歳、75歳と引き伸ばしていく訳です。
ちなみにコレに合わせて国民年金受給開始を繰り下げていくと(たとえば年金を70歳で受け取るように変更すると)、やがて受け取れる年金が増額されますので、老後を過ごしやすくなるかもしれません。
ただしこのプランは、
- 老後も元気に働きつづける
ことが前提になります。
健康は誰にも保証できませんから、本当に可能な限りで構いませんから、若いうちから少しずつでも貯めておきましょう。
ほんの少しでも貯蓄があれば、老後に働き続けねばならない年月がその分だけ減ります。
移住や運用について
貯蓄が少なくて老後が不安・・・だというならば、逆転の発想をしてみましょう。
- 少ない貯蓄でも暮らしていける=物価の安い国に移住する
プランですね。
ただしもちろん、これには言語や文化、生活環境の問題がつきまといますので、安易には実行できません。
そのほか貯蓄がある程度まで纏まったならば、その貯蓄を運用していくプランもあります。
ただしこのプランでは、何らかの要因によって貯蓄がまるまる消えてしまう、ということも有り得ます。
注意しましょう。
【老後破綻とは?】原因や対策のまとめ
今回は、
- 老後破綻とは何か?
- その原因や対策について
を見てきました。
この記事の内容をギュギュッと纏めると、
- 老後破綻とは老後資金が足りなくなって二進も三進も行かなくなる人のこと
- 原因は主に2つ
- 1つは純粋に貯蓄が足りていないことが原因
- もう1つの原因は予想外の出費(病気や介護費など)
- 老後破綻を防ぐには4つの方法がある
- 1.若いうちからコツコツ貯めること
- 2.貯める余裕がない場合は転職を考えてみること
- 3.60歳を過ぎても働きつづけること
- 4.物価の安い国へ行くか貯蓄を運用すること
- ただし4.はリスクがあるので注意
ということになります。
老後破綻は不可抗力なところもありますが、事前準備が出来れば対策できないわけではありません。
そしてその対策の王道は何よりも『コツコツ行くこと』です。
老後破綻を対策するならば、何よりも先ず無理のない貯蓄計画を立てて、それに則って行動するようにしましょう。